【Vol.1】北野 岳(株式会社レプリネット・カンボジア )
〜カンボジア進出を2013年に決断した理由と、13年間で見えてきた成長国ビジネスの実像〜
2013年にカンボジアへ進出し、広告代理店業を起点に進出支援、不動産コンサルティングへと領域を広げてきた株式会社レプリネット・カンボジア代表取締役の北野岳氏。
13年間にわたり日本とカンボジアを行き来しながら見えてきた、成長国ビジネスの実像を伺いました。

北野 岳
現職
株式会社レプリネット・カンボジア 代表取締役社長
一般社団法人日本アジアビジネス協会 理事
略歴
- 2013年4月 カンボジア・プノンペンに前身のReplinet (Cambodia) Co., Ltd. を創業。日系総合広告代理店として活動開始
- 2016年3月 日本・東京都港区に株式会社レプリネット・カンボジア設立
- 2017年10月 カンボジア事業をカンボジア法人旧STANDING ON THE BRIDGE INTERNATIONAL CO., LTD、現UG Marketing Republic Co., Ltdと統合。
- 2018年5月 一般社団法人日本アジアビジネス協会 カンボジア担当理事に就任
カンボジア進出を選んだ背景
—— 北野社長は2013年にカンボジアへ進出されていますが、東南アジアの中でも同国を選んだ理由は何だったのでしょうか。
きっかけは、知人に誘われて参加した、経営者向けカンボジア視察ツアーでした。正直、それまでカンボジアについて深い知識があったわけではありません。初めて現地を訪れたのが2013年1月です。
特に印象的だったのは、プノンペン空港に高級車が多く並んでいたことです。ローカルの富裕層がすでに一定数存在しており、日本で報道されているイメージとは大きなギャップがありました。本当のカンボジアの姿は、当時ほとんど伝わっていなかったと思います。

進出の決断と広告・プロモーション分野での勝算
—— 初訪問時点で、ビジネスとしての手応えはありましたか。
ありました。ちょうど高度成長期に入っており、GDP成長率は7%前後で推移していました、また、米ドル経済である点も大きかったですね。成長が継続すると判断しました。
そのため、2013年4月には現地法人の設立申請を行いました。スピードを重視しました。また、2014年には初の大型商業施設としてイオンモールの進出が決まっており、日系企業の進出が本格化する流れは明確でした。そうなれば広告代理店の需要も必ず生まれると考えていました。
—— 広告・プロモーション分野で勝算を感じた理由は?
日本で広告代理店の仕事をしてきた経験が、そのまま活かせると判断しました。市場は未成熟でしたが、だからこそ余地がありました。
また、成長市場では、慎重すぎる意思決定は機会損失になります。日本では細かさや慎重さが強みになります。しかし新興国では、スピードの方が重要な場面が多いと感じています。
現在の事業内容と社長としての役割
—— カンボジア進出後、事業はどのように広がっていったのでしょうか。現在の主な事業内容と、社長としての役割について教えてください。
一言で言えば、カンボジアでの「何でも屋」です。事業の中心は広告代理店業ですが、イベント運営、日本企業の進出支援、コンサルティング、不動産コンサルタントまで幅広く行っています。拠点はどちらか一方に固定していません。13年間ずっと日本とカンボジアを行き来しながら事業を続けてきました。
日本とカンボジアの2拠点でビジネスをしていたので、日本側の人脈と、カンボジア側の人脈の両方が自然と育っていった感覚があります。その結果、日本企業のカンボジア進出支援や、地方自治体からのリサーチ案件、農産物の輸出関連案件など、コンサルティングの仕事が徐々に広がっていきました。
ここ7〜8年では、そうした経験をもとに各地でセミナーにも登壇しています。これまで、30〜40カ所ほどで講演を行ってきました。

広告からコンサル、不動産へ事業が広がった理由
—— 現在の事業を見ていると、広告代理業を起点に、コンサルティング、プロパティへと段階的に広がっている印象があります。その背景には、どのような市場の変化があったのでしょうか。
カンボジアは、競合が少ないブルーオーシャン市場であり、かつ米ドル経済です。個人資産の保全・運用支援の相談も増えてきました。近年は、プロパティ事業にも力を入れています。
プロパティビジネスはここ3年ほどで状況は大きく変わってきました。具体的には、台湾・香港・シンガポールといった華僑系資本のデベロッパーが本格的に参入し始め、自国で培ったノウハウをそのままカンボジアに持ち込んでいます。これにより、建物の品質水準が向上してきたことで、リアルエステート市場全体が一段階上のフェーズに入ったと感じています。実際に、完成物件のクオリティや入居後の管理体制を見ても、数年前とは明らかに違います。
なぜカンボジアでは富裕層が増えているのか
—— 不動産や資産形成の話とも関係しますが、プノンペンでは高級車や高級マンションが目立ちます。なぜここまで富裕層が増えているのでしょうか。
プノンペンでは、高級車や高級マンションが珍しくありません。輸入大型車の最終コストは約2.2倍と非常に高額です。それにもかかわらず、需要が強いのが実情です。
背景にあるのは、人口増加と土地価格の継続的な上昇です。例えば、エリアによっては、地価が1990年代と比較して、100倍以上に上昇した場所もあります。不動産ビジネスで成功した一人が、親族全体の事業や生活水準を引き上げるケースも多いです。資産が親族内で循環していく構造が生まれています。
そのため、収入源が一つに限られない人が多いのも特徴です。本業に加えて、複数のビジネスや投資を並行して行うことが一般的になっています。
また、国民平均年齢が27歳と若いのも日本とは異なる点です。40歳前後で早期リタイアや経済的自立を目指す人も少なくありません。

ビジネスパートナーを最初から信用しない ~カンボジア事業の現実
—— 市場としての魅力がある一方で、実際に事業を進める中では、どのような点に苦労されましたか。また、注意すべきポイントがあれば教えてください。
まず苦労した点として大きいのは、時間感覚の違いです。以前は1時間遅れや無断キャンセルも珍しくありませんでした。ただし、近年は徐々に改善されてきています。
一方で、良い意味でのギャップもあります。カンボジアの若者は非常に前向きです。稼ぎたい、経験を積みたい、スキルを高めたい。そうした意欲が強いですね。実際、経済が成長していることもあり、主体的に動ける人材が多いと感じています。
また、信頼関係の築き方も重要です。「ビジネスパートナーを最初から信用しない」。これは現地で事業を行う上での一つの鉄則だと考えています。カンボジアは親族文化が非常に強い国です。そのため、親御さんへの挨拶や親族との関係構築が、結果的に雇用や取引上のトラブル防止につながります。
カンボジアでの生活と休日の過ごし方
—— 休日はどのように過ごされることが多いですか。
休日も、完全に仕事と切り離すわけではありません。現地や日本から来たビジネスパーソンと食事をしながら情報交換をすることが多いですね。堅い打ち合わせというより、食事をしながら新しい話が生まれることも少なくありません。
カンボジアの食事環境は想像以上に充実しています。フランス統治時代の影響もあるのでしょう。多国籍なレストランが多いです。洋食・アジア料理ともにレベルが高い。価格帯も日本の感覚で言うと、体感で半額くらいのイメージです。
プノンペン自体がいわば”グルメシティ”といえます。外食文化が根付いていますし、富裕層や親族文化が強いこともあって、ホームパーティーに招かれることもよくあります。そうした場で人脈が自然に広がっていくのも、カンボジアらしい点だと思います。
スポーツ面では、国民的なのはサッカーですね。若い世代を中心に人気がありますし、ダンスも非常に盛んです。イベントやパーティーでも、音楽がかかれば自然と踊り出す文化があります。
—— 日本では経営者同士の交流というと、ゴルフや会食、麻雀などが思い浮かびますが、カンボジアではいかがでしょうか。
基本的には似ています。お酒は、やはり共通言語ですね。ゴルフ人口も増えています。仕事とプライベートは完全には分かれていません。人付き合いの延長線上にビジネスがある。そんな感覚に近いかもしれません。

カンボジアの未来と、これから挑戦する人へ
—— これまでのご経験を踏まえて、今後のカンボジアの可能性をどのように見ていますか。また、北野社長ご自身の今後の展望についても教えてください。
カンボジアは依然として成長市場で、GDP成長率も高水準。しかも、実質的に米ドル経済で為替リスクを取りづらく、事業に集中しやすい環境だと感じています。今後は、これまで行ってきたツアーやセミナーをさらに拡大しつつ、より決済力のある経営者層に向けて、質の高いコンサルティング支援を提供していきたいと考えています。単なる情報提供では終わりません。現地で事業を回し、資産を形成するところまで伴走する。それが理想の支援です。
また、最近感じているのは、若くして成果を出している経営者ほど、海外に対する心理的なハードルが低いということです。国内市場の伸びが見えにくい中で、最初からグローバル視点で事業を考えている人が増えています。
カンボジアは、そうした経営者にとって「リスクを抑えながら成長を取りにいける」数少ない市場の一つです。
これから法人設立や海外展開を考えるのであれば、早い段階で一度、現地を自分の目で見る価値は十分にあると思います。
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