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カンボジア不動産投資:建設投資73億ドルと中国人ビザ免除が映す2025年のチャンス

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2025年末のカンボジアでは、建設投資の急増と中国人観光客向けビザ免除という二つのニュースが「カンボジア不動産投資」の追い風になっています。ただし、すべてのエリアが一様に上昇するわけではなく、都市インフラや観光動向と結びついたセグメントにチャンスが集中していくと考えられます。そこで、直近に報じられた二つのニュースを起点に、なぜ今カンボジア不動産投資が注目されるのか、その理由と具体的な狙いどころを整理します。

不動産を背景に、パスポートを持っている手。

カンボジア不動産投資 2025の結論:二つのニュースが示す方向性

まず押さえたい、インパクトの大きいニュースは次の二つです。いずれも2025年12月上旬に報じられました。

■ 建設投資が73億ドル超に急増

2025年に入って承認された建設プロジェクトは3,503件、投資額は73億2,000万ドルと前年から約69%増加しました。うち約2,700件が住宅関連開発で25億ドル超を占めています。

■ 中国人観光客へのビザ免除トライアル

2026年6月15日〜10月15日の4カ月間、中国人観光客に14日間のビザ免除を試験的に導入します。観光需要の底上げを狙い、1年への延長も視野に入れて検証される予定です。

これらによって、①住宅・商業不動産への国内外資金の流入 ②観光・ホスピタリティ不動産への需要回復 が推進されるでしょう。

 

最新ニュースから読むカンボジア不動産投資の背景

■ カンボジア不動産投資を下支えする73億ドルの建設投資

カンボジア土地管理・都市計画・建設省は、2025年1〜11月の建設投資が73億2,000万ドルに達し、前年比約68.89%増と、大きく伸びたことを公表しました。

内訳を見ると、

・高層ビル:228件
・住宅開発:2,700件超(25億ドル超)
・商業施設・工場など:残りの大部分

と、住宅と産業系が中心です。特に住宅開発への投資比率が高いことは、以下のような示唆を与えます。

・国民所得の向上と都市部への人口流入で、実需に支えられた住宅需要が続いている
・低中所得向けボレイ(区画住宅)や郊外ヴィラへの開発が拡大している
・一部のオフィス・コンドミニアムで見られた「供給過多」から、より実需寄りの商品へシフトしている

また、カンボジア開発評議会(CDC)の発表によると、2025年1〜11月に承認した固定資産投資が95億ドルでした。これは前年同期比で件数56.5%増・金額48.4%増です。その中心は製造業・農業・インフラ・観光への投資。中国・シンガポール・ベトナムなどからの資金流入が目立ちます。

■ 中国人ビザ免除はカンボジア不動産投資の追い風になるか

もう一つの注目ニュースが、中国人観光客向けのビザ免除トライアルです。2026年6月15日〜10月15日の4カ月間、中国人は14日間の観光目的であればビザ申請や手数料なしで入国可能になり、複数回入国も認められます。

実際、中国はコロナ前からカンボジア最大級の観光客送客国であり、現在も第三位のホリデー客送客国とされています。このビザ緩和は、

・シェムリアップ(アンコールワット)やシアヌークビルなどのホテル・ゲストハウス
・首都プノンペンのサービスアパートメント・短期賃貸
・観光地周辺の商業施設・リテール物件

への需要を押し上げる可能性があります。期間は4カ月と限定的ですが、政府は結果次第で1年への延長も検討しています。そのため、実験的な「需要喚起策」として注目を集めています。

こうした観光施策は、不動産市場にタイムラグを伴って波及するのが一般的です。短期的には宿泊稼働率や平均客室単価(ADR)の押し上げ、中期的には新規ホテル建設や既存物件のリポジショニング(用途変更)として現れます。

■ 都市インフラ投資とカンボジア不動産投資の関係

さらに、アジア開発銀行(ADB)は、カンボジアの都市レジリエンス向上のために7億6,300万ドルのマルチトランシェ投資プログラムを承認しました。14都市・12地区で、上水道や排水、廃棄物管理などを整備する大型案件です。

インフラ投資は直接的に不動産価格を押し上げるわけではありませんが、

・洪水リスクの低減 → 低地・河川沿いエリアの土地価値を下支え
・上水道・下水道の整備 → 住宅・工場立地のボトルネック解消
・中核都市の生活水準向上 → プノンペン以外の地方都市への投資余地を広げる

といった形で、「中長期的な不動産価値の土台」を作る投資です。

これらのニュースは、CBREカンボジアが毎週発行するニュースラウンドアップに詳しく整理されています。

 

どこを狙うか?カンボジア不動産投資の有望セグメント

■ 1. 都市型住宅:プノンペンと周辺二級都市

建設投資のデータからもわかるように、住宅プロジェクトへの資金配分が大きいことは、都市部の実需住宅が依然として有望なことを示しています。

特に注目しやすいのは、

・プノンペン中心部からやや外れたボレイ(区画開発住宅)
・衛星都市化が進むエリアのタウンハウス・リンクハウス
・新空港や幹線道路に近い郊外ヴィラ

といった、現地中間層が実際に居住するプロダクトです。一方で、高級コンドミニアムは過去数年の供給の反動で選別が進んでおり、「ロケーション」「ブランド」「管理品質」で優位な物件に絞り込む必要があります。

■ 2. 観光ハブのホスピタリティ:シェムリアップとシアヌークビル

中国人ビザ免除をはじめとした観光促進策は、アンコールワットを擁するシェムリアップと、ビーチリゾートのシアヌークビルに最もダイレクトな影響を与えます。

具体的な投資アイデアとしては、具体的には

・中価格帯ホテル・ブティックホテルの共同開発
・既存ホテルのリノベーションを通じたADR(平均客室単価)の引き上げ
・観光客向けサービスアパートメントや短期賃貸用コンドミニアム

などが挙げられます。一方で、観光需要は為替動向や地政学リスクの影響を受けやすいため、借入比率を抑えた長期スタンスが前提になります。

■ 3. インフラ連動型の土地・工業用地

また、ADBの都市インフラ投資や、新空港・高速道路などの整備は、周辺の土地価格や工業用地の評価に時間差で反映されます。

たとえば、

・新テチョ国際空港アクセス道路沿いの物流・倉庫用地
・水道・排水設備が整備される地方都市の工業団地候補地
・洪水対策プロジェクト完了後に水害リスクが低下するエリアの住宅用地

などは、中長期の視点で見ると面白いセグメントです。ただし、現地での情報収集と行政計画の確認が欠かせないため、信頼できるローカルパートナーとの連携が前提になります。

 

日本人にとってのカンボジア不動産投資の進め方

■ ローカルパートナーと情報ソースの選び方

カンボジア不動産投資では、情報の鮮度と透明性がリスク管理の鍵になります。具体的には、

・現地大手仲介会社・デベロッパー(例:CBRE Cambodia など)との関係構築
・英語・クメール語メディア(Khmer Times, Phnom Penh Post など)によるニュースチェック
・現地法律事務所・会計事務所との連携による法務・税務の確認

が基本となります。

■ ESGとリスクマネジメントを意識したカンボジア不動産投資

今回紹介したニュースからは、「インフラ整備」「都市レジリエンス」「観光促進」といったキーワードが浮かび上がります。これらは単に収益性だけでなく、社会的インパクトや環境適応の観点からも重要になりつつあります。

投資判断の際には、たとえば

・洪水やインフラ不足など物理的リスクをどう軽減できる立地・プロジェクトか
・地元コミュニティへの影響や立ち退き問題が適切に扱われているか
・省エネ設計・再生可能エネルギー活用など、中長期で競争力を保てる仕様になっているか

といったESG(環境・社会・ガバナンス)の視点も織り込むと、長期的な安定収益を得やすくなります。

 

まとめ:2025年は「選別」と「準備」の年

改めて、直近ニュースから「カンボジア不動産投資」を巡るポイントを整理します。

まず、建設投資73億ドル超・投資認可95億ドルという資本流入の加速が起きています。次に、中国人観光客ビザ免除などの施策があります。これにより、観光・ホスピタリティ不動産の需要回復が期待されます。さらに、ADBの都市インフラ投資などを通じて、中長期の土地・住宅価値の土台が整えられつつあります。

一方で、注意すべき点も少なくありません。過去のコンドミニアム過剰供給があります。また、インフラ整備前の周辺土地への過度な投機なども挙げられます。

そのため、2025年は「準備の年」と位置づけるのが現実的です。「どのセグメント・どのエリアを選ぶか」を精査しましょう。同時に、現地パートナーや法務・税務スキームを整えることも重要です。ぜひ、今回のニュースを入口にしてください。自社のリスク許容度と投資戦略に合ったカンボジア不動産投資のポジション取りを検討してみましょう。

(参考:CBRE Cambodia

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