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【2026年】カンボジア不動産:インフラ投資で広がるビジネスチャンス

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2026年以降のカンボジア不動産市場は、インフラ整備の進展を背景に、大きな転換期を迎えると見込まれます。市場の方向性は、「インフラ整備と連動した成長」および「地方への分散」にシフトしていくでしょう。

具体的には、アジア開発銀行(ADB)による約7.6億ドル規模の都市インフラ投資が進行しています。加えて、10年スパンの国家農村開発政策や、中国人観光客向けビザ免除措置の試行も予定されています。

こうした動きを背景に、都市部の住宅・物流・ホスピタリティ分野では新たな需要が生まれ、同時に地方都市や農村部の土地にも、中長期的なビジネスチャンスが広がると考えられます。

本記事では、直近の政策・投資動向を整理したうえで、中長期的に不動産市場へ与える影響を、ビジネスの視点から解説します。

カンボジア不動産:インフラ投資で何が起きているのか

まず押さえておきたいポイントは、次の3点です。

  1. ADBが約7億6,300万ドル規模の「都市レジリエンス投資プログラム」を承認
     14都市・12地区を対象に、水道、下水、排水、ごみ処理などの都市インフラ整備が段階的に進められています。
  2. 10年計画の国家農村開発政策が始動
     地方の道路整備、上下水道、教育、所得向上策を一体的に進め、地域格差の是正を目指しています。
  3. 中国人観光客向けビザ免除措置の試行
     2026年6月15日から10月15日までの4カ月間、14日間のビザ免除が実施される予定で、観光関連需要の回復が期待されています。

さらに、2025年1〜9月には、インフラ、不動産、製造業分野を中心に、約80億ドル規模の新規投資プロジェクトが承認されました。国際投資家の関心が再び高まりつつある点も見逃せません。

カンボジア不動産インフラ投資の最新ニュース概要

■ ADBの都市インフラ投資と都市不動産への影響

ADBの都市レジリエンス投資プログラムは、総事業規模約9.6億ドルのうち、約7.6億ドルをADBが拠出するものです。メコン流域、トンレサップ湖周辺、沿岸部の都市を中心に、約200万人の生活環境改善を目的としています。

この動きは、不動産ビジネスにも直接的な影響を与えます。

  • インフラ整備エリア内の住宅・コンドミニアム:上下水道・排水設備が整うエリアでは、低〜中間層向け住宅の需要が増えます。また、土地の流動性も高まりやすくなります。
  • 都市周縁部のロジスティクス・軽工業用地:排水設備・道路整備により、開発余地が拡大します。倉庫・工場・物流センターの需要が高まります。
  • 民間資本の参画余地:PPP(官民パートナーシップ)やサブコン契約があります。これらを通じて、建設・エンジニアリングへの参入が可能です。また、O&M(運営・維持管理)への参入機会もあります。

こうしたエリアを早い段階から押さえることが重要です。

■ 国家農村開発政策と地方のカンボジア不動産のポテンシャル

10年にわたる国家農村開発政策では、農村部の道路・クリーンウォーター・教育・生計向上を包括的に進め、貧困削減と地域間格差の縮小を目指しています。これは人口の多くが依然として農村部に住むカンボジアにおいて、長期的には「地方の居住ニーズ」と「小規模ビジネスの拠点需要」を押し上げる要因になり得ます。

さらに、CMACとAPOPOによる約28万1,000ドル規模の地雷除去プロジェクトでは、北東部で約800万平方メートルの土地が新たに安全な利用可能エリアとなる見込みです。これらの土地は、農業、再生可能エネルギー、エコツーリズムといった用途を通じて、段階的に不動産価値を持つようになるでしょう。。

■ 中国人向けビザ免除と観光不動産への波及

2026年6月15日〜10月15日にかけて、中国人観光客向けを対象に14日間ビザ免除の試行が行われます。期間中は手数料なし・オンライン到着カードのみで複数回の入国が可能となり、延長や1年制への拡大も視野に入れたパイロット施策とされています。

中国人観光客向けのビザ免除措置は試行段階ではありますが、観光需要回復の起爆剤となる可能性があります。特に、シェムリアップ、プノンペン、シアヌークビルでは、以下のような施設で需要が高まります。

  • 中価格帯ホテル・サービスアパート・ブティックホテル
  • 飲食・小売を含むロードサイド商業不動産
  • 観光ガイド会社・ツアーオペレーター向けオフィススペース

ビザ免除はあくまで試行です。しかし、結果が良好であれば延長・拡大の可能性があります。したがって、中期的なホスピタリティ不動産戦略を考える上で無視できません。

インフラ投資から読み解く3つの投資戦略

■ 戦略1:都市インフラ×住宅・商業カンボジア不動産を「選別」して狙う

都市部では、すべてのエリアが一様に伸びるわけではありません。そのため、インフラ投資が入るゾーン×既存の経済活動の掛け算で考えます。つまり、次のようなエリアを選別することが重要です。

  • 新しい上下水道・排水網の整備が予定されているエリア
  • 工業団地・SEZ(特別経済区)へのアクセス道路沿い
  • 新空港・港湾・幹線道路の結節点に近い郊外

こうしたエリアでは、以下のようなスキームが現実的といえるでしょう。

  • 中低価格帯の分譲住宅・コンドミニアム開発
  • 小〜中規模の近隣型商業施設(スーパー・ドラッグストア・F&B)
  • 倉庫兼オフィスのハイブリッド型物件(SME向け)

■ 戦略2:農村インフラ×アグリ・物流で長期ポートフォリオを組む

農村開発政策と地雷除去によって、「今は安いが、インフラ整備と安全化で価値が顕在化する土地」を増やします。確かに投資回収まで時間はかかりますが、以下のような長期戦略が考えられるでしょう。

  • 農産物集荷場・低温倉庫(コールドチェーン)用地の確保
  • 農村観光(アグリツーリズム)向けの小規模宿泊施設用地
  • 再エネ(ソーラー・バイオマス)と組み合わせた土地活用

日本企業にとっては、土地取得だけが選択肢ではありません。また、物流・加工・観光事業など、現地企業と組んだ事業参画も可能です。

■ 戦略3:観光回復×ホスピタリティ不動産で「運営力」を武器にする

中国人向けビザ免除の試行は、観光需要の底上げ要因になり得ますが、ホテルの建て過ぎは過去にも問題になりました。今後は「ハード(建物)」よりも運営力・ブランド力が差別化要因になります。

  • 既存ホテル・ゲストハウスの買収後、日系水準のサービス・運営ノウハウで価値向上
  • 地元オーナー物件の運営受託(マネジメント契約)による軽資本参入
  • 観光動線上のF&B・物販を組み込んだ小型複合施設開発

カンボジア不動産投資において今取るべきアクション

■ インフラ投資マップを作り、有望エリアを可視化する

まず取り組みたいのは、インフラ投資の動きを地図上で把握することです。断片的なニュースを追うだけでは、投資判断にはつながりません。

  • インフラ投資の対象となる都市・地区をリスト化します。ADBやカンボジア政府の発表資料を確認しましょう。また、補足情報として、APS CambodiaConstruction Propertyなどを確認すると良いでしょう。
  • Googleマップ等で位置をプロットします。そして、空港・港・SEZ・主要幹線道路との位置関係を確認します。
  • すでに自社で投資している、あるいは検討中のエリアと照らし合わせます。「今後注視すべき場所」を整理しましょう。

この作業によって、
「現在の価格水準」「将来のインフラ整備」「実際の経済活動」
の3点を同時に俯瞰できるようになります。結果として、案件を見極める精度が一段高まります。

■ 現地パートナー選定とリスク管理を徹底する

カンボジア不動産投資のためには、信頼できる現地パートナーの存在は不可欠です。法制度や税制、開発実務に精通した相手を慎重に選びましょう。

  • 不動産会社、法律事務所、会計事務所など、現地での実務経験が豊富なパートナーと組みましょう。そして、デューデリジェンスを行うことです。
  • 土地権利(ソフトタイトル/ハードタイトル)や、用途制限、将来の転用可否を事前に精査することが重要です。
  • インフラ計画が「構想段階」なのか、「予算確定・実行段階」なのかを見極めましょう。期待値を適切にコントロールします。

まとめ|カンボジア不動産:インフラ投資は「長期×選別」が鍵

カンボジアの不動産市場は、都市・農村の双方でインフラ整備が進むことで、構造的な変化の局面にあります。短期的な値上がりを狙うのではなく、「どのインフラが、どのエリアの、どの不動産価値に影響するのか」を見極める視点が欠かせません。

うまく付き合えば、単なる新興国リスクの高い投資ではなく、中長期の事業機会として十分に検討に値する市場になりつつあります。

(参考:APS CambodiaConstruction Property

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