カンボジア不動産2026:『最後のフリーホールド・フロンティア』となるか
本記事では、カンボジア不動産に関するキャピタルゲイン税(譲渡益課税)の最新動向について解説します。
不動産分野では、キャピタルゲイン税の導入が2027年まで実質的に延期されることとなりました。その結果、2026年は「税負担が軽い最後のフリーホールド市場」として注目を集めています。
一方で、株式など不動産以外の資産については注意が必要です。これらは2026年から20%のキャピタルゲイン税が適用されています。出口戦略やスキーム設計を誤ると、想定以上の税コストが発生する点には注意が必要です。本記事では、日本企業・投資家が2026年に検討すべき内容を紹介します。

2026年は「最後のフリーホールド市場」として投資妙味が高い一年
カンボジア不動産に対するキャピタルゲイン税の導入は、不動産に限って2027年まで実質的に延期されました。この措置により、2026年は投資妙味の高い一年となります。
現在、カンボジアは「税負担が軽い最後のフリーホールド市場」として投資家の関心を集めています。外国人がフリーホールド(完全所有権)で不動産を保有でき、かつキャピタルゲイン税の本格導入前である点が大きな特徴です。
ただし、株式など不動産以外の資産には、2026年から20%のキャピタルゲイン税が適用されています。投資対象や出口の取り方によっては、税負担が一気に増える可能性があります。
カンボジア不動産のキャピタルゲイン税延期が意味するもの
■ 不動産は2026年末まで猶予、その他資産は課税開始
キャピタルゲイン税とは、不動産や株式などを売却した際の値上がり益に課される税金です。カンボジアでは2020年以降、段階的な導入が検討されてきました。但し、市場や経済への影響を考慮し、開始時期は度重なる延期を経てきたのです。
2026年1月2日付の通知により、不動産に対する20%のキャピタルゲイン税は2026年末まで再度延期されました。実質的には2027年からの適用となります。一方で、株式、投資資産、知的財産など不動産以外の資産については、2026年1月1日から課税が開始されています。
このため、個人投資家がコンドミニアムなどの不動産を直接保有し、2026年末までに売却する場合、キャピタルゲイン税を抑えやすい環境が続いています。
■ 延期の背景にある政府の狙い
政府が不動産分野に限って課税を延期した背景には、いくつかの要因があります。
- コロナ禍後の回復途上にある不動産市場を冷やしたくない。販売・建設活動への悪影響を回避するため
- 近隣国と比べ税制・規制を優位に保ち、海外投資を呼び込みたい戦略
- 税務当局側の運用体制・周知不足の解消に時間が必要
税務当局の説明でも、不動産市場への配慮から1年間の猶予を設けたとされています。投資環境を維持しつつ、段階的な制度導入を進める意図がうかがえます。
なぜカンボジア不動産は「最後のフリーホールド市場」なのか
■ 外国人がフリーホールドで保有できる希少性
カンボジア不動産の大きな特徴は、外国人でもストラータタイトル付きコンドミニアムをフリーホールド(完全所有権)で保有できる点です。通常は建物の2階以上を区分所有する形となり、永久所有が認められています。
シンガポールやバンコクなど近隣市場では、税率引き上げや規制強化が進んでいますが、カンボジアは「2026年の最後のフリーホールド・フロンティア」と位置付けられています。
キャピタルゲイン税の本格導入前であること、外国人がフリーホールドで保有できる点。この2つが重なる市場は、現在では非常に限られています。
■ 新規投資と実需に支えられた市場
2026年初頭には、カンボジア開発評議会(CDC)が約6,700万ドル規模の新規投資プロジェクトを承認したことも報じられています。製造業やインフラ投資は、雇用創出や住宅需要の拡大につながり、不動産市場にも波及効果が期待されます。
投機一辺倒ではなく、実需に支えられている点も、カンボジア不動産の評価を高めています。
キャピタルゲイン税延期を踏まえた投資戦略
■ 戦略1:個人名義でのストラータタイトル投資
延期の恩恵を最も受けやすいのは、個人名義でのコンドミニアム投資です。
- 2026年中に購入し、中期(3〜5年程度)の値上がりや賃料収入を狙う
- 2027年以降のキャピタルゲイン税導入を前提に、売却タイミングを柔軟に設計する
- 出口時に税制が変わっても耐えられるプランを組む。短期のキャピタルゲインに依存しすぎない
エリアとしては、プノンペン中心部の高層コンドミニアムが注目を集めています。加えて、空港・高速道路・港湾開発が進む周辺地区も、投資の余地があります。
■ 戦略2:法人・SPCを活用したスキーム設計
株式や投資資産には2026年から課税されるため、法人やSPCを用いたスキームでは注意が必要です。
- 物件は個人が直接フリーホールドで保有。管理・賃貸運営のみ法人に委託する形
- 複数物件をまとめて保有・運営する法人を設ける形。投資家ごとに持分や優先分配の条件を調整
どの形が適切かは、投資額・保有期間・出口戦略(物件売却か、株式売却かなど)によって変わります。現地の税理士・弁護士にシミュレーションを依頼することをおすすめします。
■ 戦略3:2026年を「仕込みの年」にする長期目線のポートフォリオ構築
キャピタルゲイン税延期を短期的な節税機会と見るのは勿体ないことです。長期ポートフォリオ構築の一環として位置付けることが重要です。
- 2026年中に主要な立地でのポジションを確保しておく
- 賃貸需要が見込める間取り・グレードの物件を選ぶ。インカムゲイン(家賃収入)を確保する
- 将来のキャピタルゲイン税導入後も、賃料収入だけで投資回収できる計画を立てる
カンボジア不動産 キャピタルゲイン税延期後のリスクと注意点
■ 税制リスク:再延期の可能性と急な制度変更
カンボジアのキャピタルゲイン税は、これまでに複数回延期されてきました。今後も政治・経済状況次第で再延期や制度変更が起こる可能性があります。
- 税率が20%から変更されるリスク
- 控除対象や課税対象資産の範囲が見直されるリスク
- 実務運用(評価方法、申告・納付手続き)が変わるリスク
「2026年中に売れば必ず無税」という前提で、過度なレバレッジをかけるのは避けましょう。保守的なキャッシュフロー計画を立てることが求められます。
■ 市場リスク:供給過多と金利環境の変化
プノンペンを中心に、カンボジア不動産市場ではコンドミニアム供給の増加が指摘されています。完成時期が集中するプロジェクトに偏って投資すると、賃貸・売却ともに競争が激しくなるリスクがあります。
また、世界的な金利環境の変化により、ドル建て借入コストの上昇が起こる可能性があります。投資リターンが圧迫されるおそれもあります。借入比率を抑え、金利上昇に耐えられる返済計画を組むことが重要です。
■ 法務・コンプライアンスリスク
カンボジア不動産投資では、権利関係の確認が極めて重要です。
- ストラータタイトルが正式に発行されているか
- デベロッパーの実績と財務健全性
- 管理規約や賃貸運営上の制約
これらを軽視すると、キャピタルゲイン税以前に「売れない・貸せない」物件を掴むリスクがあります。現地の信頼できる専門家によるデューデリジェンスは必須です。
まとめ:2026年のカンボジア不動産で押さえるべきポイント
改めて整理すると、2026年の投資ポイントは次の通りです。カンボジア不動産のキャピタルゲイン税延期を踏まえた内容です。
- 不動産への20%キャピタルゲイン税は2027年から実質適用。2026年は税負担の軽い「仕込みの年」になり得る
- 一方で、株式など不動産以外の資産は2026年から課税対象。法人スキームの設計には注意が必要
- カンボジアは外国人に開かれたフリーホールド市場。近隣国よりも規制・税制面で優位性がある
- 新規投資プロジェクトやインフラ開発が進展している。実需に裏付けられた中長期投資の機会が存在する
- ただし、税制変更・供給過多・金利・法務のリスクを十分に織り込むこと。保守的なキャッシュフロー計画を立てることが重要
2026年のカンボジア不動産市場は、「過度な規制に縛られていない数少ないフリーホールド市場」であり、「キャピタルゲイン税本格導入前の最後のターム」でもあります。ビジネスとして参入を検討する方は、税務・法務の専門家と連携してください。今のうちに市場調査と戦略立案を進めることをおすすめします。
(参考:Acclime Cambodia、PwC Cambodia、PwC Cambodia January 2026)
