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印紙税免除延長とインフラ・電力投資が変える2026年の投資戦略

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本記事では、2026年のカンボジア不動産市場について、印紙税免除の延長とインフラ・電力投資の2つの観点から整理します。市場全体が一斉に活況という状況ではありませんが、中価格帯の住宅やインフラの影響を受けるエリアを選べば、中長期での投資機会は十分にあると考えられます。

緩やかな価格推移と政策による下支え

カンボジアでは、住宅価格はパンデミック後も全体として緩やかな上昇にとどまり、時期によっては年1%未満の推移とされることもありました。つまり、「どのエリアでも確実に値上がりする」という状況ではありません。一方で政府は、税制優遇やインフラ整備を通じて市場を支える方針を明確にしています。

主なポイントは次の3つです。

  • 税制:印紙税の免除・軽減を2026年末まで延長し、住宅取得の負担を軽減
  • インフラ:新空港や高速道路、運河構想により、物流・観光・工業用地の価値に影響
  • エネルギー:AI・データセンター・EV需要を見据えた電力政策が、不動産の立地評価に影響

つまり今の市場は、「全体が上がる局面」ではなく、政策と立地によって明暗が分かれるフェーズです。
投資においては、物件やエリアを見極める選別投資が前提になります。

印紙税免除延長のポイント

■ 2026年末まで延長された内容

2026年1月、財務経済省は通知により、ボレイ(分譲住宅団地)及びコンドミニアムの所有権移転にかかる印紙税の免除・軽減措置を2026年12月31日まで延長しました。主な内容は以下の通りです。

  • 対象:ボレイおよび区分所有コンドミニアム
  • 初回購入:評価額21万ドル以下の部分は印紙税免除(超過分のみ課税)
  • 2件目以降7万ドルの控除などの優遇措置を継続

例えば20万ドルの物件であれば、本来発生する印紙税がほぼかからず、初期投資額を大きく抑えることができます
これはそのまま、実質利回りの改善につながります。

■ 中価格帯が有利になる理由

この制度の恩恵を最も受けるのが、21万ドル前後の中価格帯です。

  • 実需層:住宅購入のハードルが下がり、需要が入りやすい
  • 投資家:同じ家賃でも利回りが改善する
  • デベロッパー:販売が進みやすく、市場の流動性が改善

供給過多の調整局面に対し、政府はこの税制を通じて市場のソフトランディングを図っていると考えられます。

■ 日本人投資家の実務ポイント

投資家として以下をチェックすることが選別投資の鍵となるでしょう。

  1. 21万ドル以内を目安に検討:ネット利回りや出口戦略まで含めて評価
  2. デベロッパーの信頼性確認:遅延やトラブルの少ない事業者を選定
  3. タイミングの設計:2026年末までの優遇措置を前提に計画

インフラと電力が不動産価値を変える

今後の不動産価値を左右するもう一つの軸が、インフラと電力です。

重要なのは、「どこでも上がる」のではなく、インフラの影響を受けるエリアだけが選別的に伸びるという点です。

■ 新空港と旧空港跡地

プノンペン南部では新テチョ空港の建設が進んでおり、周辺の土地利用は大きく変わる可能性があります。また、旧プノンペン国際空港跡地は、公園や複合開発エリアへの転換が検討されています。

したがって、空港アクセス沿いでは物流施設やサービスアパートなどの需要増加が期待されます。

■ 高速道路・運河と物流不動産

高速道路の整備やFunan Techo運河構想により、物流効率の改善が見込まれています。

  • インターチェンジ周辺の物流倉庫・工業団地
  • 運河周辺の物流拠点・ドライポート
  • 地方都市のロードサイド商業施設

これら多くはまだ計画・建設段階にあります。そのため、インフラ整備前の段階で情報収集できるかが重要になります。

■ 電力政策と不動産

AI・データセンター・EVの拡大により、電力インフラ強化や再生可能エネルギーの導入は、不動産価値を左右する重要な要素になりつつあります。

  • データセンター用地:安定電力と通信インフラを備えたエリアの価値上昇
  • EV関連施設:工業団地での需要増加
  • オフィス:関連企業の進出による需要拡大

今後は「立地」だけでなく、電力インフラまで含めた評価が不可欠になります。

実務上のチェックポイント

投資を検討する際は、以下の点が考慮のポイントになるでしょう。

■ 外国人の不動産取得

カンボジアでは土地の所有は原則として自国民に限定されています。
そのため、外国人が取得しやすいのはコンドミニアムの区分所有です。

土地付き物件を取得する場合は、スキーム設計が必要となるため、専門家の関与が前提となります。

■ 簡易シミュレーション例

  • 物件価格:18万ドル(印紙税免除対象)
  • 想定家賃:月900ドル(表面利回り約6%)
  • 諸費用控除後:ネット利回り4〜4.5%
  • 出口:5〜7年後、年2〜3%の価格上昇を想定

■ リスク管理

  • 土地権利や抵当の確認
  • パートナー企業の実績・訴訟履歴の確認
  • 社内ルールの整備(稟議・贈答など)

まとめ

ここまで直近のニュースから以下のポイントをお伝えしてきました。

  • 印紙税免除延長により、21万ドル前後の物件に需要が集まりやすい
  • インフラ・電力投資は、中長期の不動産価値を押し上げる要因となる
  • 市場全体ではなく、物件・エリアごとの見極めが重要

中価格帯住宅、インフラ連動型の不動産、そして法務・税務を踏まえた構造設計。この3つを軸に検討することが、2026年以降の現実的な投資戦略といえるでしょう。

(参考:Andersen in CambodiaRiel PropertyKampuchea Thmey DailyGlobal Property Guide

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